「ジャケ買い」という言葉がある。
ジャケットの好みだけを判断基準にCD(昔ならレコード)を購入することをいうが、これが結構「当たる」場合が多い。
ふつうジャケットはそのCDアルバムのイメージに合わせて制作される。
また、心がこもる充実した内容のアルバムなら、ジャケットにもそれが反映されているものである。
だから逆に、ジャケットからそのCDアルバムのイメージを推しはかることもできるのである。
いわば、聴覚と視覚の相乗効果がジャケットに期待されているわけだ。
モダン・ジャズならモノクロ写真に赤・黄・青といった原色のラインや文字が定番だ。渋くてモダンな「大人」のイメージがある。
ロックやJ ポップ、そして歌謡曲にも、各々それらのイメージを醸しだすジャケットがある。
ある意味、各ジャンルのイメージが固定化されている、と言えるのかもしれない。
ぼくはCDを聴くとき、CDケースを 2つのスピーカーの間に立てて置き、それと真向かいに座る。
ジャケットと向かい合う格好である。
音をまだ聴いていないアルバムなら、まずジャケットと対面することになるのだけれど、それを見ていろいろとイメージする時間が好きだ。
どんな音が飛び出してくるのかワクワクする。
しかし、このような聴き方をしているとジャケットのイメージにとらわれ過ぎ、肝心の音楽に固定したイメージを与えてしうこともある。
重厚なジャケットの場合、気軽に音楽を楽しめなかったりするのだ。
音楽をなんの制約もなく気軽に、そして素直に聴く、というのが今のぼくの理想だ。
真っ白で無地のジャケットならいいじゃないか、と思うが、ビートルズのアルバムにあるのだけれど、それはそれで「白」のイメージがぼくの心を支配する。
ぼくにとって、ジャケットと「ほどよく付き合う」ことは至難の業なのだ。
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