Miles Davis(マイルス・デイヴィス 1,926年~1,991年 米)は、一般的にジャズ・ミュージシャンと紹介されているけれど、彼にとって、ジャンルというのは無意味なものだったのではないだろうか。
ただ、彼は黒人であり、差別される側にいたため、人種のジャンルは意識せざるを得なかったみたいだ。
子供の頃、名もないミュージシャンが路上で演奏するブルースを聴いて育った彼は、音楽でやりたいことがたくさんあり過ぎ、頭はいつもパンク状態。
そんな時、ニューヨークのジュリアード音楽院で音楽理論(やりたいことをどうすれば実現できるか)を学んだことが大きな転機となったみたいだ。
天才が真面目に勉強したら怖いものなし。
演奏する前に、すでに音楽を頭の中で組み上げていたといわれる。
だから、その時自分がやりたい音楽を、それに適したミュージシャンを集めてアルバムをつくる、ということができたのだろう。
Miles Davis は、ひとの才能を見抜く力にも長けていた。若くても気に入れば自身のバンドに加入させていたし、また実際、彼のバンドにいたミュージシャンのほとんどは独立して第一線で活躍している。
変なこだわりがないのだ。
世間には、新しい才能豊かな若い芽を摘んでしまおうとするオトナがたくさんいるというのに、良いものはよい、と素直に認めることができたのも天才ゆえか。
若い人の感覚を吸収し、それを自分のものに昇華させ、より良い音楽をつくり続ける。
これは音楽だけでなく他の分野でも必要なことだと思う。
いまの建築家でこんな人いるかしら。。。
さて、数ある名盤の中の名盤といわれる Kind of Blue は、若い John Coltrane や Bill Evans らとつくったもの。
3曲目の Blue in Green は「緑に青」というイメージどおりの美しい曲だけれど、なんといっても詩情豊かな Bill Evans のピアノが素晴しい。
|