子供のころ、グループサウンズやアイドル歌手に夢中になっていたけれど、かれらはみな自分より年上のお兄さんやお姉さんであった。
そのぼくが 20代後半になると、話題の新人として紹介されるミュージシャンのほとんどは年下になり、いまや40代になると、自分の子供と同じくらいの若者がヒットチャートを賑わしている。
だからこそ、あるミュージシャンを好きになり、そのひとがたまたま自分と同じ年齢であったりすると、つい嬉しくなる。
ましてそのひとのデビュー当時にそのような出会いがあれば、偶然だけれどなにか意味があるようにも思え、そのひとのことがいつまでも気になったりする。
当たり前のことだけれど、同じ時代の空気を吸って生きてきたからといって、だれでも好きになれるわけではない。
しかしたとえそのひとの言動に共感できなくとも、直感的に「わかる」ものはある。読んだ本や、見た映画、あるいは聴いた音楽が共通であるというよりも、それらを共有していたという仲間意識がどこかにあるのかも知れない。
さて、ぼくと同じ年に生まれたミュージシャンに、桑田佳祐や佐野元春、長渕剛、それに鈴木雅之やハウンド・ドッグの大友康平がいる。かれらの歌を聴いていると、小学生のころシャボン玉ホリデーを見て洋楽に接したことが原体験として摺りこまれているのが、なんとなくわかる。
以後グループサウンズ、ビートルズ、フォークと流れ、高校時代はロック全盛期というわけだ。
個人的には、佐野元春のデビューが一番嬉しかった。
音楽的な好みがよく似ていたのと、なにより彼自身が自分のスタイルを持っていることに共感したし、羨ましくもあった。
上の写真は、憧れのデビューを果たしたひとりの若者の喜びをよく伝えており、今でもぼくの心を熱くする。
当時この写真を見て、ぼくは一体なにを思っていたのだろうか。
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