Music
音楽    M_012
私の好きな音楽の話
軽井沢でくつろぐ John Lennon

1,980年12月8日、ジョン・レノンが射殺された日のことは今でもよく覚えている。 ぼくはその頃、働きながら夜間の専門学校に通っていた。 休み時間、誰かが「ジョン・レノンが殺されたらしいぞ」とささやいているのが耳に入った。 すぐ彼に問いただしたが、情報源があいまいで真偽はつかめなかった。 そういうことにしたかった。 信じられないというより、信じたくない気持ちのほうが勝っていたから。 下校時、学生があちこちでジョン・レノンの話をしている。聞くのが嫌だったから、ひとり足早に駅へ向かった。 阪神電車で梅田に着き、改札を出て階段をかけ上った。 いくつかの人だかりが出来ていた。 胸がドキドキした。 そのひとつを覗いてみると号外を配っていた。 ジョン・レノンが射殺されたことを報じる号外だった。 生前の顔写真がやたら大きく、文字は少なかった。 事件の詳細はまだわからなかったのだろう。その顔写真の、ジョン・レノンの目を見つめた。 死を受け入れた。 受け入れざるを得なかった。 事実だから。 家に帰ってテレビをつけると、ジョン・レノンの死を悼む特別番組が映し出された。 あまり見る気がしなかった。 中学生の頃から大好きだったジョン・レノンが死んだというのに、なぜか思ったより悲しくなかった。 明日も仕事だ。 いつもどおり風呂に入って、イマジンを聴いて寝た。

今でも時々ジョン・レノンを聴く。 ぼくは知らぬ間に、彼が死んだ年齢を越えてしまった。 でも不思議だなぁ、いつまでたっても彼はぼくより年上であるような気がする。