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そ の 他    O_003
興味をもったことなど・・・
三重県津市御殿場海岸にタンカー 2隻漂着
'94年 9月 朝日新聞

何故か知らないが、人間は「大きなもの」や「高いもの」、そして「速いもの」に無条件で憧れる。 損得勘定のない無垢なこどもが一番好きな動物といえばゾウである。 ヒョウやライオンの猛々しさやフラミンゴの華麗さより、ずっとずっと彼らはゾウの巨体に心を奪われる。 以前、天王寺のちゃんこ屋で友人と鍋を囲んでいた時、店の入り口から突然「オースッ」とゾウが入ってきたのには驚いた。 近くの動物園から飛び出してきたのかと思ったが、いくら酔っていてもそれはないだろう、とよく見ると横綱・曙だった。 ゾウと見まがうその巨体に、みんなポカ~ンと口を開けて見とれていた。 おとなになっても「大きなもの」への畏敬の念は変わらない。 「高いもの」といえば、建築もそうである。 マンハッタンの摩天楼は今から100年も昔に建てられたにもかかわらず、いまだに世界中の人々を魅了する。 ひとつひとつの建物のデザインはさほど良くないけれど、「そびえ建つ」とでも形容できそうな、あの 200mを越す高さと、それらが集積した状態は人間が創り上げた最も偉大な「風景」と言っていいだろう。 少しそれるが、バブル経済華やかな頃、女性が結婚相手の男性に「3高(高学歴・高収入・高身長)」を求めたのも、単なる見栄や我がままではなく、あながち人間の本音でないとは言えないだろう。 「速いもの」といえば、庶民の手の届くところでは自動車だけれど、やはりなんと言っても音より速く空を飛ぶジェット機がカッコいい。 ぼくなどは、いまだに「音よりも速い」というイメージがつかめないでいる。 不思議なことだけれど、速さを追求していくと、自然とスマートで洗練されたデザインになるのはどうしてだろうか。 人間には、余分なものを削ぎ落とすことに魅力を感じる本能があるのだろうか。 大きい、高い、そして速い、この3つの要素にぼくたち人間は、太古の昔からあこがれ続けているのである。