興味をもったことなど・・・ |
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最近あまり耳にしないが、「健気(けなげ)」という言葉がある。
広辞苑には4番目の意味として、「(子供など弱いものが)けんめいに努めるさま」と記されている。
ぼくが子供だった昭和30~40年代は経済の高度成長期であり、ちょうどその頃「健気」という言葉が日本から消えていったのかもしれない。
そのような言葉がない社会のほうが「幸せ」と言えなくはないが、画面を通してではあっても、たまに開発途上国の子供たちの「健気」な姿を目にしたとき、心が震えるほど感動させられるのは一体なんなのであろうか。
同情でもなく哀れみでもない。
感情よりもっと原初的ななにかが、鋭くダイレクトに心に訴えかけてくるような気がする。
それは多分、ただ生きることに「けんめいに努めてきた」ぼくたちの遠い遠い祖先のその記憶をもつ遺伝子が、呼び覚まされて共振しているのではないかと思う。
さて、今はテレビをまったく見なくなったぼくだけれど、20年ほど前に日曜日の夕食後「雪の女王」という子供向けアニメを欠かさず見ていたことがあった。
それはデンマークの作家アンデルセンの生誕200年ということで、「雪の女王」をもとに他のアンデルセン作品の要素も加え、NHKがアニメ化したものだった。
主人公の幼い少女ゲルダが、雪の女王にさらわれた幼馴染のカイを探す股旅物であるのだけれど、その困難に立ち向うゲルダの「純粋」な思考と「健気」な生き方が、毎回ぼくを感動させてくれる。
それに彼女のある意味ボヘミアン的生き方が、今のこの時代を生き抜くための示唆を与えてくれているようで、とても元気づけられるのだ。
明日からの仕事を前に、千住真理子のバイオリンが奏でる美しいテーマ曲が流れはじめると、ぼくはひとり部屋に閉じこもり、灯りを消してNHKアニメ劇場を見ていたのである。(笑)