Architecture

A-025
私がめざす建築は
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コンクリート打ち放しは一発勝負


建築の仕上げに、コンクリート打ち放しというものがある。 コンクリートの表面に仕上材を塗ったり貼り付けたりしないで、そのままの状態を仕上げとしたものである。 建物の内部と外部のどちらにも使えるし、ほとんどこの仕上げだけで建築をつくることもできる。 英語では Exposed Concrete(露出したコンクリート)と言ったりするが、打ち放しという言葉のニュアンスとしては Naked(裸の)の方がピッタリだ。 それは多分、露出させることに意味があるのではなく、裸のありのままということに意味があるからだと思う。 つまり、建築材料としてのコンクリートではなく、素材としてのコンクリートといえる。 この仕上げが、特に日本で高い人気を持ち続ける理由は、そこらあたりにあるのだろう。 日本料理等にみられる「素材を生かす」という文化が、「何も足さない、何も引かない」ものに対する美意識を育んだに違いない。 また別の魅力もある。コンクリートという流動物を、予め組立てておいた型枠の中に流し込んで思いの形状に仕上げるわけだが、型枠を取り外すまでその仕上りが上手くいったかどうかわからない、といった一発勝負の魅力である。 だからコンクリートを流し込む時は、美しく仕上がるようにと、一心になって竹で突付いたり、振動させたりして隅々まで行き渡るようにする。 型枠を取り外し、美しいコンクリートが現れたときの感動はなんど味わってもいいものだ。 この喜びを施主や施工者と分ち合えるのも、また良い。 期せずしてこの仕上げの表情に一役かっているのが、表面に規則正しく開いた穴と型枠の継目である。 前者は型枠を固定する金具の痕跡であるが、この穴がコンクリートに端正な表情を持たせているし、後者は大きな壁面を等身大のスケールに分割して親しみやすくしている。 このように、コンクリート打ち放しという仕上げには、いろんな魅力が詰まっているのだ。