Architecture

A-035
私がめざす建築は
  s a / r a
simple architecture _ real architecture


   

可 動 間 仕 切 り で 空 間 は 変 化 自 在


頑固一徹、自分の生き方を脇目もふらず真っ直ぐ突き進むのもよい。 まわりの変化に伴う齟齬(そご)など、たかが知れている。 確かに、そういう「したたか」な生き方も魅力的ではある。 しかし片意地張らずに、まわりの状況に合せて自分も変えていくような「しなやか」な生き方も捨てたものである。 家についても同じことがいえる。 一旦決めた間取りを、たとえ家族構成やライフスタイルに変化が生じても、頑として守り通すのもひとつの見識であろう。 住むひとが家に合せて生活するのである。ライフスタイルの変化といっても、所詮人間は食って寝るだけの生きものだ。 しかし人間がつくった家に人間が隷属する、いわば主客逆転であることは否めない。 もし、状況の変化にある程度対応できる家があれば、わざわざ窮屈な思いをしてひとが家に合せなくともよいことになる。 住むひとが主体になれる、そういう家がやはり理想だ。 じゃあ、どうするか。 配管が埋め込まれている水道やガスの移設は大層なので、「水回り」の場所はある程度固定されてしまう。 しかしリビングを含め、部屋を小間切れにしている壁が、必要なときだけ現れ、それ以外のときは消えてくれれば、さぞ快適であろう。 それはもはや「壁」ではなく、可動する間仕切であり、「建具」の範疇である。 もっと開放的で持ち運びもできる「壁」を要求するのなら、「衝立(ついたて)」になってしまう。 要するに、部屋を区切るのは「壁」、という固定観念を解き放てばよいのだ。 そういえば昔の日本家屋には間仕切壁がほとんどない。 障子や襖(建具)を閉めることによりかろうじて部屋としての体をなしてはいるが、もとはといえば一室空間である。 プライバシーや耐震ということもあるけれど、建具による間仕切りは変化自在な空間を演出してくれる。