私の好きな音楽の話 |
Woody Guthrie(ウディ・ガスリー 1,912~1,967 米)は、ホーボー(hobo)にまつわる歌をたくさん歌っている。
広大な国アメリカでは、19世紀中頃から鉄道の敷設が各地で進められた。
ことに1,869年に完成した大陸横断鉄道は、合衆国の拡大と統一を象徴した。
貧しい南部の人々にとってこれらの鉄道は、故郷を捨て、噂に聞く「夢の楽園」に仕事を求めて移動することを可能にした。
彼らは貨物列車の屋根に乗ったり、危険なところに隠れたりして無賃で各地を放浪し、収穫の手伝いや採鉱などの労働でその日暮しをしていた。
このような人々のことを、いつの頃からかホーボーと呼ぶ。
社会の管理が厳しくなる1,940年頃まで、アメリカにはこういうホーボーがたくさんいたという。
ある意味、古き良きアメリカ的おおらかさを感じさせる。
ところで、ホーボーでなくとも、「放浪」というものに魅力を感じる人は多い。
特に男は誰しも、常に「放浪」願望を心に秘めているのではないだろうか。
たったひとりで、遠くへ行きたい。
何のしがらみも無く、自由気ままにその日暮しがしたい。。。
などと、出来もしない甘ったれたロマンにひたって、現実逃避を夢見ているのである。
目的があったにせよ、芭蕉や蕪村、少し下って山頭火の乞食行脚も一種の「放浪」といえる。
昔の日本人は、よく歩いてあちこち「放浪」しているのだ。
さて、アメリカのホーボー。無賃乗車がばれては引きずり降ろされ、少し働いてはまた無賃乗車。
こんなことを何回も繰り返してやっとたどり着いた「夢の楽園」。Woody Guthrie は次のように歌っている。
カリフォルニアは夢の楽園だよ
住むにも見るにも天国さ
でも、信じようと信じまいと言っておくけど
お金が無けりゃ、ここではうまくやっていけない