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ピラネージ「幻想の牢獄」7図 第2版


ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi 1,720~1,778 伊)は18世紀の幻想的な銅版画家である。 ヴェネチアで生まれた彼は、建築家の叔父の影響もあり、20歳の時に建築家を目指してローマに渡った。 が、有名になっても生活に窮している建築家連中を見ていやになり銅版画家を志したという。 古代ローマ遺跡をモチーフに彼独自の大胆な構図と幻想的なヴィジョンを細密な描写で表現した。 25歳の時に発表した14枚からなる「幻想の牢獄」(直訳すれば、牢獄の気まぐれな考案、となるらしい)は、経験した範囲内の想像しかできない人間の限界を打ち破った作品といえる。 縦横無尽にかけられた梯子や階段、アーチ、滑車、クレーン、鎖、得体の知れない道具等の錯乱が、疾走感をもって、力強く、かつ細密に描写されている。 少し遅れてスペインに登場するゴヤの「黒い絵」とならび、18世紀の最高傑作といわれるのもうなずける。 「黒い絵」が心の闇なら、「幻想の牢獄」は精神の闇といえるかもしれない。 雑然としているが、無機質で音の無い冷めた狂気の世界が展開されている。 260年後の今でも、まったく古さを感じさせない時空を越えた普遍性がある。 牢獄という主題に対して不謹慎だけれど、カッコいい空間なのだ。 25歳のピラネージに、どうしてこのような描写が可能であつたのだろうか。 神がかり、ということか。 しかし、芸術家はいつもそうだけれど、当時の評価は芳しくなく生活は苦しく、なんとか旅行土産用の版画で食いつないでいたそうだ。 33歳で金持ちの娘と結婚した頃から運勢が次第に上向き始め、晩年は建築家としてもそれなりに活躍したみたいである。