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マティスの切り紙絵 <Blue Nude Ⅰ>


アンリ・マティス(Henri Matisse 1,869~1,954 仏)は、原色による荒いタッチや、形体の単純化を特徴とする野獣派(Fauvisme)を代表する画家である。 また、その豊かな色彩から、彼を「色彩の魔術師」と呼ぶひともいる。 「色」と「形の単純化」がマティス、といえる。その「色」と「形」には深い関係がある。 たとえば、「色」をより強調しようとすると、自ずと「形」が単純になってしまうし、逆に「形」を単純化しようとすると、「色」が強調されてくる。 これと同じことが「形」と「主題」についてもいえないだろうか。 人物が単純化されたマティスの「ダンス」という絵を見て、「ダンスをするひと」を描いているのではなく、「ダンスそのもの」を描いている、と言ったひとがいたけれど、実に的を射た言葉だ。 「ダンスをするひと」を忠実に描けば描くほど、ひとの「形」ばかりが強調され、肝心の主題である「ダンス」が見えなくなってしまう。 このように「形」の単純化は、「色」や「主題」といったものをより鮮明にする大きな意味を持っているのだ。 70歳を過ぎて大病を患い、絵を描くことが出来なくなってしまったマティスは、「形」の単純化の意味を実証すべく、キャンバスと絵筆を紙とハサミに持ち替え、「切り紙絵」を精力的に制作した。 ふつう晩年と言われる時期だけれど、幼児の遊びでもある「切り紙絵」を芸術の域にまで高め、素晴らしい作品を次から次へと生み出していったのだから、凄いひとである。ぼくはマティスの「切り紙絵」が大好きだし、彼のしなやかな生き方にも共感する。 日本では求道的なことが好まれ、ものに価値を見出そうとする傾向が強いけれど、ただ紙を単純な形に切って貼り付けただけの「切り紙絵」には、そういうことを軽く飛び越え、ダイレクトにひとの心に訴えかける力があるように思うのだ。